現金を賃貸不動産に変えて相続する節税メリット
マンション経営を相続に組み合わせれば、相続税の節税だけでなく、賃貸収入も入ってきます。節税効果を相続例でご紹介しましょう。50歳の一人娘が被相続人の父親から相続人として現金2億円を譲り受けたとします。
相続税額は譲り受けた財産×相続税率=相続税額ではなく、一旦全財産をまとめて合計額を計算後、それぞれの財産持ち分割合で分け直すと特徴があります。
お亡くなりになった被相続人様のすべての財産の集計額は課税価格の合計額となり、そこから3,000万円+600万円×相続人数の控除額を差し引いた残額を相続人それぞれが、最初に譲り受けた財産割合で案分しなおした額に相続税率を掛けて相続税額が決まります。
トランプで例えますと、配られたカードを一度全部回収し、カードの山を作り配り直すわけです。すべての財産の合計額×按分割合というイメージです。按分割合についてはすべてのカード、つまり財産の総額を分母、分子は山から再度配られたトランプの枚数ではなく、最初に配られていた枚数、つまり土地なら土地、建物なら建物、骨とう品なら骨とう品と、最初に把握している額が分子となるので、按分割合は相続人それぞれで違ってきますが、全員の按分割合を足せば1となります。トランプの山という最初に集計した財産合計が、最初に集計した財産合計額から基礎控除額を差し引いた課税遺産額という残額を分母、最初に相続人それぞれが譲り受けた一人当たり財産額を分子の按分割合でもって、配り直し、配りなおされた財産額にそれぞれ相続税率を掛けて相続税額が決まるイメージです。
さらに相続税額は微調整が行われます。未成年控除、配偶者控除であるとか、相続時精算課税を選んで受けた贈与税やお墓や葬儀代金の控除、さらに親子以外の相続人は、相続税の2割を上乗せなど、相続人の個人事情によるプラスマイナスの調整をして最終的なそれぞれの相続税の額が決まります。
今回の例に戻りますと、現金2億円を父親から相続した50代の娘の場合、3,600万円の控除額を2億円から基礎控除額として差し引き、そこから相続税率40%を適用するので娘が支払うべき相続税の額は約6,560万円になります。
さて、ここから相続財産の現金で土地とマンションを購入した場合の節税効果の話となります。
父親が生前に現金2億円の相続の節税対策のため、自分名義の1億円の土地と1億円のマンション経営物件に変身させ、マンションはCさんに賃貸し、さらにマンションの経営オーナーでマンションの賃借人であるCさんは賃貸率8割でマンションを運営したとします。
土地の相続税評価額は売買時の実勢価格の9割ほどで表される公示価格を8割ほどにした額です。1億円の土地の場合、7割程度の約7,200万円が相続税評価額となりますが、貸家建付地となるので、土地の相続税評価額からさらに借地権割合、借家権割合と賃貸率を加味した額が相続税評価額から差し引け相続税評価額を抑えられます。
具体額は、7,200万円-(7,200万円×借地権割合70%×借家権割合30%×賃貸率80%)となり、約6,000万円がマンション経営を組み込んだ貸家建付地の土地の相続税評価額となり1,200万円ほど安くなりました。
一方、1億円のマンションの相続税評価額は課税証明書の固定資産税評価額とほぼ同じ額となります。固定資産評価額は相続財産の7割ほどなので1億円のマンションなら約7,000万円が相続税評価額となりますね。さらに貸家建付地の建物なので、相続税評価額からさらに、借家権割合30%と賃貸率80%を加味した額を差し引く事が出来ます。具体的にはマンションの相続税評価額7000万円-(7000万円×借家権割合30%×賃貸割合80%)円でマンションの相続税評価額は約5,320万円となり1,680万円ほど安くなりました。
土地の相続税評価額は約6,000万円、マンションの相続税評価額は約5,320万円なので、相続財産合計は11,320万円、ここから基礎控除額3,600万円を差し引いた残額7,720円に相続税率30%を掛けますと、娘の土地とマンションの相続税額は2,316万円となりました。
現金2億の時の相続税額は6,560万円だったので、相続税は相続財産がキャッシュ2億時の約3.5割になり、相続税の節税額は約4,200万円となりました。
さらに、マンションを賃貸しているので、Cさんからマンションの賃貸収入も得られます。ただし、娘はCさんにマンションを貸すマンションの所有者になりますが、マンション経営のオーナーではないので、マンション経営の家賃収入はCさんの不動産所得となります。
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